新日本三景「三保松原」Part2
新日本三景「三保松原」の片面提灯です。
以前、白バージョンの「三保松原」を紹介しました。
今回の青い提灯では、
白と同様、天女が羽衣を纏い天高く昇って行くシーンは
左側に描かれていますが、そこに「羽衣の松」と言う風に
天女が羽衣をかけたとされる松を名称記載しております。
一方、右側には薪能(たきぎのう)と記し、
火を焚いて、能を演じるシーンが描かれています。
これは「三保松原」で能や狂言を上演する
「三保羽衣薪能」をイメージしたもので、
「三保松原」に特設の能舞台を設置し、
能「羽衣」などを演じます。
以前紹介した白の提灯の時と重複しますが、
羽衣を纏う天女、そして「羽衣」という能は、
この地の羽衣伝説から来ています。
羽衣伝説とは、
三保のとある漁師がいつものように釣りに行くと、
松の枝にいい香りのする美しい衣がかかっていたので、
それを持って帰ろうとすると、天女があらわれ
『それは私のです。お返しください。それがないと天に帰れない』と言います。
そこで漁師は『舞いを見せてくれたら返そう』と言います。
天女は『羽衣がないと舞を踊れません』と言います。
漁師は、羽衣を返したら、そのまま飛んで行ってしまうのではないかと疑います。
すると天女はそれを察し、
『疑いは人間だけのもの。天人に疑いというものはありません』と言います。
漁師は急に恥ずかしくなり、羽衣を天女に返します。
天女は、羽衣を身にまとい、舞を踊りながら天へと帰っていきます。
提灯そのものは多少劣化しており、
一か所、大き目の穴が開いています。
元箱はありません