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扇屋内花扇喜多川歌麿③

  • 扇谷内花扇喜多川歌麿
    扇谷内花扇喜多川歌麿

江戸時代の絵師「喜多川歌麿」が描いた「扇谷内花扇」を模した提灯です。喜多川歌麿は、吉原の遊女をはじめ、市井の美女たちなどを描いた作品も数多く、今日でも人気の高い浮世絵師です。
この作品は「当時全盛美人揃」のシリーズにも同じ図がありますが、「美人揃」では、「花扇」は「扇」の字と「よしの たつた」の禿の名が削られて、「扇屋内 花」に変更されています。

「扇屋内 花扇」で確認されるのは東京国立博物館所蔵の作品だけである。そうした文字の改変の裏には、歌麿の描いた四代目の花扇が、寛政6年(1794)に客と駆け落ちしたことが原因だともされていて、浮世絵研究の上でも貴重な作品です。なお、東京国立博物館には、何代目の花扇が使用したものかは不明なのですが、花扇太夫持ちと伝えられる「朱漆塗り行燈形提げたばこ盆」を所蔵しています。

浮世絵の祖とされる菱川師宣(ひしかわもろのぶ)の代表作が「見返り美人図」であるように、浮世絵には美人画というジャンルが最初から確立されていました。初期の美人画は全身が描かれていたのですが、歌麿は役者絵などに用いられていた大首絵(おおくびえ)の手法を取り入れ、上半身をアップにし、顔に目が行く美人大首絵を考案したのです。これが浮世絵の支持層であった江戸町民に人気を博し、歌麿は瞬く間に人気絵師のトップに躍り出たのです。

歌麿は単に構図を変えただけでなく、髪の毛の一本一本も丁寧に描き、地色の背景に雲母摺(きらずり)を用いたほかにも、空摺(エンボス加工)や無地の地潰しなどの技法を駆使して、作品としての美しさを追求。一世を風靡するほどの人気を獲得したのです。

「東京国立博物館」へのアクセスは、
JR「上野駅」の公園口より徒歩10分。