宮島
世界遺産・厳島神社を擁する広島県の宮島の周囲は、およそ30kmあります。その海沿いに多数の神社が点在しており、このうち7つの浦にある7社を 特に「七浦神社(七恵比寿神社)」と呼びます。
具体的には以下の7つの神社のことで、杉之浦神社 祭神「底津少童命」、鷹巣浦神社 祭神「底筒男命」、腰少浦神社 祭神「中津少童命」、青海苔浦神社 祭神「中筒男命」、山白浜神社 祭神「表津少童命」、須屋浦神社 祭神「表筒男命」、御床神社 祭神「宗像三女神=厳島神社と同じ」です。
その七浦神社を船に乗って島を1周しながら参拝することを「七浦巡り(御島巡り)」と言います。 「七浦巡り」は古くからの風習で、宮島に伝わる 「安芸の宮島まはれば七里、浦は七浦七恵比寿」という里唄にも唄われており、提灯にも描かれています。
海上から見られる神社は、全て厳島神社の摂社・末社です。 七浦神社には日本の代表的な海の神である「綿津見神(三神)」、「住吉三神」、 「宗像三女神」が祀られており、これらの偉大な神々のご加護を祈願できる、 ありがたい航路となっています。
七浦巡り(御島巡り)の由来は、昔、厳島神社のご祭神が、島を一周して 自らが鎮座する場所を探したという言い伝えにあります。 かつて厳島神社に詣でる人は、このご祭神の浦巡りに習って七浦神社を巡り、 心身を清める神事を行っていました。 この神事は「御島廻式(御島巡り)」と呼ばれ、後に観光も兼ねた七浦巡り (御島巡り)へと繋がっていきます。
現在、「御島廻式」は、毎年3月初旬と9月初旬の七浦神社祭の際と、5月15日 (厳島講社員向け)に、行われています。 各神社を海上から、または上陸して詣で、祝詞を奏上したり、お供え物をしたりしますが、中でも重要な儀式が、養父崎神社の沖合で行われる「御烏喰式(おとぐいしき)」と呼ばれるものです。 これは、養父崎浦の沖で、海上に浮かべたいかだに御幣(ごへい)と粢団子 (しとぎだんご:米の粉を海水で練った団子)を供える儀式です。
ご祭神が浦々を巡った際には、宮島の弥山(みせん)に住む神烏(ごがらす/神鴉) が先導役となったと言い、「神烏伝説」として語り継がれています。 海上にお供えをすると、この神烏が2羽姿を現し、団子をくわえて、ご祭神を案内した時のように、海岸に祀られる養父崎神社に行くのだそうです。 御烏喰式は厳島神社の創建にまつわる重要な儀式で、参加すると幸福が訪れるとされています。
七浦七恵比寿の7か所の神社を2時間半かけて海上より参拝する特別ツアーは年に数回しかありません。船内では御島廻式という神事、各神社についてなど専門のガイドより詳しい説明を行います。