1. TOP
  2. 和歌山県
  3. 高野山①

高野山①

  • 高野山(正面)
    弘法大師開山 高野山

提灯には、母子が描かれ、そこには「妻や子の心づくしをふりすてあわれ高野にすみぞめの袖」とあります。
これは「石童丸」の物語を表現したものです。「石童丸物語」は、「高野山」の「苅萱堂」に纏わる物語で、その内容は、以下の通りです。

かつて筑紫国(現在の福岡県)に、加藤繁氏という領主がいて、正室と側室がいたのですが、嫉妬から、正室が側室を殺す計画を立てました。その計画を知った側室は難を逃れる為に加藤家から出るのですが、実は妊娠していました。
一方、繁氏は「嫉妬で人を殺すなんて・・・」と、人間の心を憂い、高野山に出家し、「刈萱道心」(かるかやどうしん)として修行に励みます。

その後、妊娠していた側室からは子供が生まれ、その子供こそが「石童丸」と呼ばれるようになります。「石童丸」と母は、父を探しに「高野山」に向かいます。ところが、高野山は女人禁制で母は入れず、麓で待つこととなり、「石童丸」は一人で「高野山」に入ります。

「石童丸」は、「高野山」の奥の院の御廟橋で、ひとりの僧に出会います。それこそが、父「刈萱道心」でした。
ですが、出家をした身の父は、自分が実の父である事を言わず、「加藤繁氏は死んだ」と嘘をつきます。

「石童丸」は悲しみに暮れながら下山すると、なんと母も亡くなっていました。
孤独になった「石童丸」は、再び「高野山」に向かい、「刈萱道心」の弟子となります。
二人は、その後、子弟として一緒に修行する身となりますが、「刈萱道心」は死ぬまで「実の父は自分だ」とは伝えませんでした。