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河口湖3

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    河口湖

「河口湖」の提灯です。「河口湖」の提灯はこれで3個目になります。最初の2個は富士山を背景に河口湖大橋と太宰治の富嶽百景にある「富士には月見草がよくにあう」の一節が描かれています。一方、今回の「河口湖」の提灯は前の2個とは少しだけ趣向が違います。

今回の「河口湖」も富士山を背景に、一句詠むあたりは一緒ですが、今回の句は、幕末の官僚であり剣の達人でもあった山岡鉄舟の句「晴れてよし 雲ありて良し 富士の山」が描かれています。

実はこの句には続きが有り、言葉も提灯に描かれたものとは少しだけ違います。本当は、「晴れてよし 曇りてもよし 富士の山 もとの姿は 変わらざりけり」なのです。
この句を山岡が詠んだ背景には、山岡の苦悩がありました。

元々徳川家の直参だった山岡が明治天皇の宮中に仕える身となったことで、「山岡は徳川の直参だったのに、今は宮中に仕えるとは、節操がないやつだ」と悪口を言われるようになったのです。元々自らすすんで宮仕えになったわけではないけど、「真摯に職務を全うしよう」と頑張っていた山岡の態度は、残念ながら他人からはあまり理解されていなかったようです。

そんな山岡が富士山を見て詠んだ句が先程の「晴れてよし 曇りてもよし 富士の山 もとの姿は 変わらざりけり」なのです。人は富士山を見て、晴れた時には美しいといい、曇っている時にはそうでもないといったりします。でもそれは見ている人が勝手にそう思うことで、富士山は晴れた時でも曇った時でもその姿は変わらないのです。

美しいと感じるののも、そうでもないと思うのも、結局は「富士山」そのものの姿ではなく、それを見た人の「心の在り方」なのです。コップの中に水が半分残っているときに、「まだ半分もある」と思うのか、「もう半分しかない」と思うのか。結局、世の中の多くのことは、心の在り方によって良くも悪くも見えるものなのですね。