金のなる木
「金のなる木」の提灯です。「成田山」とあります。「成田山」新勝寺は千葉県成田市にあります。平将門の乱を鎮めることを望んだ朝廷の命によって成田山は開山しました。源頼朝や徳川将軍家、水戸藩主徳川光圀といった関東有力武将の崇敬を受けました。
徳川家康公にまつわる多くの遺話の中に「金の成る木」があります。それが提灯には描かれています。徳川家康公が家臣に「金の成る木」について問われたところ家康公は自ら筆をとられて幹三本を描き、「よろず程のよ木(万事のよき)」「志ひふかき(慈悲深き)」「しょうじ木(正直)」と書かれ、「これを常々信用すれば必ず富貴が得られよう」と仰せられたそうです。
その後、細川忠興公がこれに左右の枝を描き「あさお木(朝起き)」「いさぎよ木(潔き)」「しんぼうつよ木(辛抱強き)」「ゆだんな木(油断のなき)」「ようじょうよ木(養生よき)」「かないむつまし木(家内睦じき)」と書き加え、家康公は「左右の枝が繁盛するならば一段と富貴が得られるであろう。皆々この『金の成る木』を写しとって家内のものに教えるように」と命ぜられたといいます。