ちゃっきり節
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「ちゃっきり節」の提灯です。
向かって右側には
「唄はちゃっきり節 男は次郎長」という
「ちゃっきり節」の1番の冒頭の歌詞と共に、
帯刀したカエルが描かれ、
一方の左側には右の歌詞の続きである
「花はたちばな 夏はたちばな
茶のかおり きやーるがなくんで雨づらよ」という
歌詞と腕組をするカエルがそれぞれ描かれています。
歌詞の中のきやーるは、言うまでもなくカエルの事ですが、
これは静岡の方言で、この歌ができるきっかけとなった
「きやァるが鳴くんて、雨づらよ」
標準語に直すと、こんなにカエルが鳴くから、たぶんあしたは雨でしょう。
という芸妓のつぶやきが、そのまま一節となっているようです、
そもそも「ちゃっきり節」は
静岡県の古くからある民謡と思われている節があるようですが、
実は昭和2年に静岡鉄道(当時は静岡電気鉄道)が
狐ヶ崎遊園地の開園を記念し、広告目的で、
北原白秋に作詞を依頼し作られた新しいスタイルの民謡なのです。
ところが白秋は、芸妓遊びばかりしていて、
一向に作詞をしようとしませんでした。
作詞を依頼した静岡鉄道の面々も白秋の態度に呆れ、
白秋による作詞を諦めかけていたそんなある日、
いつものごとく白秋は
田んぼに囲まれた遊郭街で芸妓遊びをしていたのですが、
一人の芸妓が田んぼの中のカエルの大合唱を聞いて、
「きやァるがなくんて、雨づらよ」と呟きました。
この呟きにインスパイアされたのか
「おい、僕の宿からすぐ鞄を取ってきてくれ」と言って
鞄が届くとすかさず原稿用紙にこの
「ちやっきり節」を一気に書きあげたとの事です。
提灯は、持ち手が針金で補修されており、
本体も色あせや小さな穴の補修跡などありますが、
致命的は破れや大きな穴はありません。
元箱はありません。